研究概要 |
平成17年度は,本件科研研究申請当初の研究計画においては,現代フランス語におけるテンス・アスペクト体系の実態を明らかにし得るデータベースを作成することと,イベント意味論の枠組みに基づくテンス・アスペクト体系の理論的研究とを並行して進めることとしていたところ,調書の「研究計画・方法」欄にも当初から明記していたとおり,本研究代表者が研究分担者として参加している他の科研共同研究(基盤研究(A)(1)「日常的推論の論理と言語形式」(研究代表者:郡司隆男神戸松蔭女子学院大学文学部教授))において,イベント意味論の理論的な研究が急速に進められたため,平成17年度は主として後者の理論的研究が先行した. 理論面での研究は,上記の科研共同計画の研究分担者の方々と研究成果交換,討論,共同研究の多くの機会を持ち,本研究代表者の従来の研究にさらに広い視野と展望を加えることができた.こうした共同研究は,本件研究の進展に対してもきわめて大きな意義があった.また,平成17年12月に東北大学にて開催されたシンポジウム「フランス研究とフランス語教育について考える」に参加し,同シンポジウム参加者と密度の濃い研究成果の交流と意見交換を行なった. また,現代フランス語のテンス・アスペクト体系の骨格は,ロマンス諸語に共通の事情であるが,(後期)ラテン語のテンス・アスペクト体系を基礎としている.このことから,本研究代表者は以前からラテン語におけるテンス・アスペクト体系の研究がフランス語の同体系の研究には資する所はきわめて大きいと考えていたが,この観点から,本件科研研究の一環として論文「ラテン語の時の副詞節における法・時制・アスペクト形式」を執筆した.
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