コリマ・ユカギール語について、コンピュータへの入力による言語資料のコーパス化を継続して進めた。研究代表者および研究協力者が過去の現地調査で収集してきた言語資料のコーパス化を進めるとともに、既存のテキスト資料2点を入力・チェックしてコーパス化をほぼ完了した。その他2点の既存テキスト資料について入力までを完了しコーパス化準備を進めた。また並行してそれら言語資料の分析を進めるとともに、既存の分析の批判的検討を行い、入力した言語資料が辞書作成にあたって有効なコーパスとなりうるように準備を整えた。あわせて、将来の本格的なコリマ・ユカギール語辞書作成に向けた基礎的方法論の検討を開始した。優秀な辞書の特質を予備的に研究し、その視点から研究代表者らが既に刊行したコリマ・ユカギール語の語彙集を批判的に検討し、今後に向けて改良すべき点を研究した。その上で研究協力者である長崎郁(コリマ・ユカギール語の若手研究者;東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所非常勤研究員)と協力してコリマ・ユカギール語辞書試案の最初の数ページを作成して問題点を検討し、改良をはかった。印刷用フォントについて問題点を抽出し、予備的な検討と改良への方策を議論した。また、辞書作成の基盤となるべきコリマ・ユカギール語の文法構造の把握につとめるために、また他言語を専攻する研究者からの批判的検討を求めつつその記述の改良を将来に向けてはかるために、コリマ・ユカギール語の文法概要および文法の細部にわたる諸問題を扱った研究書を刊行した。
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