コリマ・ユカギール語について、コンピュータ入力による言語資料のコーパス化を継続して進めた。研究代表者および研究協力者が過去の現地調査で収集した言語資料のコーパス化を進めるとともに、昨年度コーパス化準備を行っていた既存の新たなテキスト資料を2点入力・チェックして、コーパス化をほぼ完了した。また並行してそれら言語資料の分析を進めるとともに、既存の分析の批判的分析を行い、入力した言語資料が辞書作成にあたって有効なコーパスとなりうるように準備を進めた。その結果、特に動詞の形態音韻論的分析について、昨年度末に研究代表者が刊行した『コリマ・ユカギール語の輪郭』の記述レベルより深い分析が必要であることを見出し、この点について次年度に本格的に分析に取り組むための準備作業に着手した。あわせて、将来の本格的なコリマ・ユカギール語辞書作成に向けた基礎的方法論の検討を進めた。優秀な辞書の特質を予備的に研究し、その視点から研究代表者らが既に刊行したコリマ・ユカギール語の語彙集を批判的に検討し、今後に向けて改良すべき点を研究した。昨年度末に作成したコリマ・ユカギール語辞書試案の最初の部分について問題点の検討を進め、改良を継続した。印刷用フォントについて問題点を抽出し、予備的な検討と改良への方策の議論を継続した。分析の過程で明らかとなった成果と問題点の一部について広く意見を求めるべくポスターによる研究発表(2回)と論文発表を行った。
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