本年度の研究実施計画に基づき、以下のように総括する。 (1)18年度から20年度までに四国四県の合計18地点(愛媛県5、香川県4、徳島県4、高知県5)の調査を実施した。18・19年度には周辺地点の必要も感じ、岡山県・鳥取県での調査も試みた。20年度は高知察で高知市(旧土佐山村を含む)・土佑市を踏査した。 (2)本年最終年度は四国の調査地点の調査結果の分析と総括を中心に据えて、テーマに掲げた双方向的な言語の変化モデルを構築するために、有効な方法を模索しながら、四国地方の言語変化の実態を把捉することを第一の目標とした。 (3)調査資料をデータベース化し、さまざまな分析に耐えられる基礎資料を作成した。資料整理に多大な時間と労力がかかるため、作業補助者3名を設定し、2〜3ヶ月の資料整理期間にあて、その経費(作業補助謝金)をまかなった。1〜3月調査分は今後自力で行う。 (4)高知県・愛媛県・徳島県においてさらに補足的な地点調査を実施した。山間部(愛媛県久万高原町、徳島県東みよし町、高知県いの町(旧)本川で、いずれも県境域である。 (5)研究成果は「四国方言の表現法」(仮題)に吸収したいと考える。この4年間を含め約20年間の研究全体を総揺するために、来年度の出版助成補助事業にも応募したい。四国全体をおおう本格的な方言研究は未見で、日本語方言の中の四国方言の位置づけを強く意識して、4つの橋で本州と結ばれた、他の地方には認められない、地理的・歴史的・文化的状況の著しく異なる四国地方の言語変化をクローズアップする。
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