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2005 年度 実績報告書

日本語の文理解過程に関する事象関連電位による研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520269
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

坂本 勉  九州大学, 人文科学研究院, 教授 (10215650)

キーワード統語解析 / 空主語文 / 神経言語学 / 文理解
研究概要

文理解のプロセスには、人間が行う様々な認知的情報処理がかかわっている。本年度は、文理解研究の方法論に関して、根本的な問題を考察した。具体的には、音韻処理の結果が統語処理に及ぼす影響を検証することを目的とし、日本語の関係節を含む文の処理における顕在的韻律情報について検証を行った。検証対象とする顕在的韻律情報としてはピッチのリセットに着目した。そして、関係節の左側節境界と、ピッチのリセットが行われる位置が一致するか否かによって、呈示された文を処理する際に必要となる処理コストに影響が生じるかを検証した。
従来行われてきた日本語の空主語文処理の実験では、日本語は主要部後置型言語であるため、動詞は節の最後に入力される。したがって、解析器が先行詞を決定する際、動詞の情報が一時的に無視されるのか、それとも即時的に適用されるかを検証できない。そこで、英語と同じく、主節の動詞が補文の空主語の前に現れ、且つ"ba"、"dui"のような語彙を用いて、日本語と同じく、目的語が文頭に移動できる中国語の空主語文を用いて、英語と日本語の空主語文処理の結果を検証した。主文の動詞の平均読み時間において、主語指向動詞が目的語指向動詞より平均読み時間が有意に短いという結果となった。従って、距離的な遠近に基づいた方略が中国語の空主語文処理には適用されないことが分かった。
本年度はさらに、精神分析的概念である"葛藤"や"(比喩的)解釈"について神経言語学的データを基に検討した。異種感覚様式の統合失敗における大脳半球間の伝達不全を示す知見は"否認"や"抑圧"といった防衛の概念を考える上においても意味あるものといえるだろう。今後、精神分析学とその関連分野との協力による学際的な研究によって、精神分析的概念についてのより豊かな理解が得られることが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 統語解析時の再分析における顕在的韻律情報の影響2005

    • 著者名/発表者名
      村岡諭, 松浦年男, 坂本勉
    • 雑誌名

      音韻研究 8

      ページ: 57-64

  • [雑誌論文] 比喩的解釈の神経生理学的基盤について2005

    • 著者名/発表者名
      松石佳奈, 坂本勉
    • 雑誌名

      精神分析研究 49(1)

      ページ: 120-125

  • [雑誌論文] 中国語の空主語文処理について-文節ごとの読み時間における考察-2005

    • 著者名/発表者名
      タク勇, 坂本勉
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告[思考と言語] 105(170)

      ページ: 29-34

  • [雑誌論文] 言語研究の方法論に関する覚書2005

    • 著者名/発表者名
      坂本勉
    • 雑誌名

      九州大学言語学論集(九州大学人文科学研究院言語学研究室編) 25/26

      ページ: 241-253

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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