1.研究会和独辞典に関する議論は、独和に比べ十分に行われているとは言えない。そのため、今年度は積極的に他の研究者に呼びかけを行い、意見交換、議論の機会を設けるよう努めた。個別に行った意見交換のほか、9月に三重大学人文学部にて和独研究会を開催し、2月に東京外国語大学でのドイツ語学研究会で口頭発表「小規模な語彙調査に基づく基本語彙抽出の試み」を行った。 2.小規模語彙調査和独辞典の見出し語、記述を考える場合、「基本語彙」、「特定分野語彙」等、語彙の質の区別が重要である。しかし、これまでパソコンを用いた一定規模の語彙調査は、ドイツ文字処理等の問題から実施されておらず、語彙の質的相違は明らではない。したがって、本年の研究では、語彙調査の方法自体を模索しながら、まだ大部分が手作業に近い形ではあるが小規模な語彙調査を実施し、「基本語彙」、「特定分野語彙」等を明らかにする試みを行った。 3.自動化の開発・導入語彙調査には膨大な機械的作業が必要であり、手作業には限界がある。また、調査の信頼性も高めることができない。そのため、手作業経験を踏まえ、タグ付けソフトTree-Tagger(シュトゥットガルト大学)を中核にして、見出し語切り出し作業を自動化する可能性を探った。また、表計算ソフトのマクロを利用して計量作業を自動化する試みも引き続き行っている。
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