本研究計画では、自発述語に関するアンケートとインターネット上の方言語形検索プログラムによるデータの自動収集を行うことができた。自発構文の成立条件に関するアンケート調査は2005年度に北海道と青森の大学で行った。このアンケート調査の結果、対応する他動詞文のアスペクトが句レベルで完成(accomplishment)であることが自発構文の逆使役用法の成立条件であることが明らかになった。標準語の自他対応と北海道方言の他動詞文と自発構文の逆使役用法の共通点と相違点をまとめた論考を『他動性の通言語的研究』に掲載することができた。 北海道方言の話者が自然に産出した自発構文の用例を収集するため、2007年度に自発語形を検索エンジンで検索したところ、インターネット上に自発語形を含む構文が多数存在することがわかったので、これを収集するためにYahoo JapanのAPIを活用した検索プログラムを走らせるサーバを研究室に設置した。既に20万件を超える用例を収集しており、収集した用例の一部を使った分析を2007年度末に発行した本研究計画の報告書に掲載した。 本研究計画で執筆した論考を掲載した報告書を年度末に発行した。雑誌・論文集に掲載されたものと未刊行論文の両方を含む報告書である。
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