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2005 年度 実績報告書

日本語不連続依存文処理の実験心理学的考察を通した統語的知識の領域固有性の検証

研究課題

研究課題/領域番号 17520275
研究機関目白大学

研究代表者

時本 真吾  目白大学, 人文学部, 助教授 (00291849)

キーワード心理言語学 / 領域固有性 / 韻律 / 統語的知識 / 文法性判断
研究概要

言語理論一般においては音韻・統語知識それぞれに領域固有性を仮定する.統語的現象は,例えば主語名詞句の音韻特性が主語の格形態や一致する動詞の屈折に影響を与えない等,音韻的制約から独立していると考えられてきた.しかし,実発話においては韻律が文内の依存関係構築を促進し,ある場合には瞹昧性を解消することが頻繁だし,近年の研究は黙読時にも文の潜在的韻律特性が解釈に選好性を与えることを明らかにしている.さらに,日英語の複合名詞において音韻規則の適用に統語構造が影響を与え得ることが知られているし,音韻・統語規則間の相互作用を積極的に認める言語理論も存在する.本研究は主に形式統語論の関心事であった不連続依存を,実発話の解析ならびに合成音声の聴覚提示によって実験心理学的に考察し,統語的知識の領域固有性を学際的に検証するものである.
今年度は(1)に例を示す日本語不連続依存文の実発話を録音し,その韻律特性の解析と一般化を行った.
(1)a.基本語順文
哲夫は[香織が 子猫を 拾ったと]友達に しゃべった。
b.不連続依存文
子猫を 哲夫は[香織が 拾ったと]友達に しゃべった。
その結果,以下の様な韻律特徴差異が抽出された.
(2)a.基本語順では主題-従属節主語間に顕著なポーズが確認され(平均:318ms(SD=89ms)),従属節主語-従属節目的語は連続して発話される.一方,基本語順では主題-従属節主語間に顕著なポーズが確認され(平均:318ms(SD=89ms)),従属節主語-従属節目的語は連続して発話される
b.不連続依存文での従属節目的語は基本語順より100〜200ms長く発音される.
c.主題(「哲夫は」)は文頭よりも文中で20〜30Hz低く発音される.
これらの韻律特性が不連続依存有無をコード化していると仮定し,次年度は韻律特性を操作した合成音声を呈示し,文法性判断を問う実験を行う予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Disambiguation of Homonyms in Real-Time Japanese Sentence Processing : Case-Markings and Thematic Constraint2005

    • 著者名/発表者名
      Tokimoto, Shingo
    • 雑誌名

      Language and Speech 48

      ページ: 65-90

  • [雑誌論文] 日本語不連続依存文の音読における韻律特性の実験的記述2005

    • 著者名/発表者名
      時本 真吾
    • 雑誌名

      日本心理学会第69回大会発表論文集 69

      ページ: 954

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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