研究概要 |
動詞desireは1200年頃Old Frenchから英語に入ってきた。この動詞の特徴は(1)現在に至るまで一貫して、名詞目的語を取っていること。(2)to不定詞を取ったが、現代英語なって減少した。多分wantの影響であろう。(3)that節をも従えたが、現代英語になって減少した。動詞wishの影響であろう。(4)名詞目的語+to不定詞を中英語期に取っていたが、1900年以降消滅した。このように、動詞desireの使用範囲は借入から現代に至るまで狭くなってきている。その理由としては、他の競合動詞、hope,want,wishなどにより、その範囲を少しつつ侵食されていったためであり、また、desireの名詞として、'to have a desireto-infinitive'というパタンをも発達させ、このパタンが好まれる分だけ、動詞としての範囲が狭まってきた。今後の課題として、上に上げた動詞以外にもdesireに影響を与えた動詞があるのかどうか調べる必要があろう。なお、この主題で、2007年8月10日、Sweden(Lund)で開催されたAn Association of university Professors of Englishで発表した。(秋元実治担当分) フランス語の基本的な動詞のうち、特に言語伝達に関わる三項動詞(permettre,interdire等)に注目し、これらの動詞が人間から人間への言語伝達を表している場合と非人間主語で抽象的な関係を表している場合の統辞構造をコーパスの検討に基いて比較し、その違いを文法化の観点から考察した。例えばpermettreに関しては次のような点が明らかになった。電子化されたコーパスに基づいてpermettreの実際の使用を調査すると、辞書の記述の順番に反し、書かれた資料中においては非人間主語で事行実現の「可能性」を表す構文の頻度が、より強い制約の加わっている人間主語の「許可」を表す構文に比べ圧倒的に高い。また、「法律,規則」(ex.loi)を主語とする構文は、人間主語の「許可」を表す構文とも非人間主語の「可能性」を表す構文とも共通する特徴を示す特別なクラスをなしており、構文間の文法化の程度の違いを考察する上で重要な手がかりを提供している。(尾形こづえ担当分)
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