研究概要 |
平成19年度は、前年に実施したアンケート(日本手話を母語とする者7名の協力を得て、約2000個の日本手話音節(語)の適格性に関して実施したアンケート)の(1)集計作業・分析作業、(2)音節(語)の適格性決定作業、(3)適格性条件の検討を行った。(1)および(2)については、アンケートに回答してもらった日本手話母語話者7名のうち5名以上が5段階中最下位の「1」の判定をした153語を非適格語として抽出した(非適格語群と呼ぶ)。非適格語群の語と比較対照するため、アンケート協力者7名中過半数の者が4または5を付けた37語を適格な語として抽出した。(3)において、適格な語と非適格な語では、利き手手型の種類に違いが見られた。適格な語では、薬指(7系列)または中指(8系列)またはその両方(78系列)が選択指となる手型は、37個中2個(5.4%)だけであるのに対して、非適格な語では、153語中104個(68%)にのぼり、原則としてタイプIIIの語においては、薬指のみ,中指のみ、またはその両方のみが選択指となる手型が利き手に現れることを禁止する制約があることが示された。適格語群と非適格語群では、「左右の手型の情報量の合計」および「左右の手型の情報量合計が語全体の情報量に占める割合」にも顕著な差が見られた。適格語群では、手型の情報量合計は加算平均で約10ビット以内であるのに対して、非適格語群では約15ビット、左右手型の情報量合計が語全体の情報量に占める割合は、適格語群で約78%であるのに対して、非適格語群では,約86%であった。
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