研究概要 |
1 この研究の目的は、平安時代末期(院政期)に僧侶の手によって編纂された成立した『類聚名義抄』の唯一の完本である観智院本『類聚名義抄』にっいて、そのすべての掲出字を一文字ごとに画像情報として抜き出したデータベースを作成し、その漢字字体規範を記述することである。 2 この研究では、観智院本『類聚名義抄』のすべての掲出字約42,000字について、その所在情報を与えたデータベースを作成した。これによって、観智院本『類聚名義抄』の漢字字体規範を実証的に記述する土台を作ることができた。また、掲出字数と掲出項目数とについて詳細に調査・分析を加えた。 3 漢字字体規範の研究に資するべく、観智院本『類聚名義抄』の重要な典拠文献である、図書寮本『類聚名義抄』(約6,500字)・『篆隷万象名義』(約16,000字)とを照合して、諸橋『大漢和辞典』番号・JISコード(JIS X O 208)・UCSコード(ISO/IEC l0646)等を与えたデータベースを作成した。 4 古文献・古字書に関心の深い海外の研究者と意見交換を行い、杭州・ソウル・台北で開催された国際学会で研究発表を行った。あわせて関連の資料調査を行った。 5 古字書の漢字処理について、情報処理学会の人文科学とコンピュータ研究会において研究発表を行った。特に文字同定の問題について論じた。日本語学及びそれ以外の人文研究者、さらに情報学研究者と意見交換を行った。
|