平成17年度は伊吹島および四国の香川県、徳島県の諸地域のアクセント資料を収集するため、2回に亘る調査(第1回め:2005年9月11〜18日、第2回:2006年3月21〜27日)を実施した。第1回目は(1)香川県丸亀市本島、(2)観音寺市、(3)徳島県阿波池田町、(4)同町出合、(5)三加茂町、(6)美馬市を調査、総計24名の話者、延べ約40時間分の調査資料を収集した。一方、第2回目の調査では(1)香川県多度津市、(2)同市佐柳島、(3)三豊市詫間町、(4)同町大浜、(5)粟島、(6)志々島に出向き、総計34名、延べ約60時間にわたる音声資料を収集した。これらはすべて本補助金により購入したパソコンを用いてデジタル録音されたものである。収集された音声資料は随時、音声編集ソフトを用いて編集し、讃岐を中心とした四国アクセントを分析するための音声ファイルとしている。この音声ファイルは、将来CD-Rに取り込んでアクセント研究者に配布・公開する予定で現在準備を進めている。 平成17年度第1回目の調査データの一部は、すでに研究分担者の亀田裕見(文教大)により音響分析が開始されており、その分析結果は日本音声学会の『音声研究』第9巻第4号(2006年4月発行予定)掲載の亀田論文において公表の予定である。 これらと平行して12月27〜28日において、亀田(研究分担者)と松森(研究代表者)が大阪に出張。大阪外国語大学郡史郎教授の個人研究室を訪問し、郡氏にこれまで収集した調査資料のピッチ特徴の分析方法、およびデジタル録音の技術についての包括的なアドバイスを受けた。その成果は前述の亀田論文にも活かされることとなった。またその結果、当初は本年度購入予定だったポータブルDATの購入を見合わせ、それに代わり平成18年度の調査からはRoland社のデジタルハードディスクレコーダー(R-4)に切り替え録音を行うことが決定された。これにより平成18年度に実施される調査においては、音響分析に適した、より高音質の音声資料の収集が可能になることが期待できる。
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