研究分担者 |
相澤 正夫 独立行政法人国立国語研究所, 研究開発部門, 部門長 (80167767)
朝日 祥之 独立行政法人国立国語研究所, 情報資料部門, 研究員 (50392543)
宇佐美 まゆみ 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 教授 (90255894)
早野 恵子 熊本大学医学部附属病院, 総合診療部, 助手 (70336238)
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研究概要 |
1.医療面接の談話を収録し,医師・患者(SP)双方にフォローアップ・インタビューを行った。 医療面接の談話は,ポライトネス・ストラテジーやコミュニケーション・スキルが異なる様々な場面を設定して収録した。また,次の(1)〜(3)について医師・患者(SP)双方にフォローアップ・インタビューを行った。 (1)敬語や方言の使い方によるポライトネス効果,および,ラポール(共感を伴う信頼関係)構築への影響。 (2)医学・医療用語を用いた説明と,極力用いない説明による患者の理解度・満足度の差異 (3)言い換えることや説明を加えることが難しい医学・医療の専門用語・外来語・略語 2.医師グループを対象とするインタビュー調査を行った。 インタビュー調査の内容は,(1)患者・家族との良好な関係構築に役立つコミュニケーションの工夫や,(2)必要な情報が患者・家族に適切に伝わるよう受け手に配慮した医学・医療用語の使い方など,医療コミュニケーション適切化の課題に関するものである。これらの課題について,医師としての考えや,コミュニケーションの工夫,言葉遣いの内省などを尋ねた。また,国立国語研究所平成16年度世論調査「外来語に関する意識調査II(全国調査)」の第4章「医療の専門家に期待する言葉遣いの工夫」の分析結果を医師グループに提供し,医療コミュニケーション適切化の具体的な課題について医師の意見を求めた。 3.収録データおよびインタビュー調査の分析結果から,次の知見が得られた。 (1)医療面接における敬語の過剰な使用は,患者・医師間のラポールの構築に逆効果となる。 (2)患者と同じ方言の使用は,お互いの心理的距離を縮め,患者・医師間のラポールの構築に役立つ。 (3)医学・医療用語を極力用いない説明を患者は医師に求めるが,症状や治療によっては医学・医療用語を用いない説明が困難なものもある。その場合,医師側には情報の伝え方の工夫が,患者側には知る努力が求められる。
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