本研究の最終目標は生成文法の成果に基づく学習英文法を作り上げることである。これまで生成文法の研究分野において膨大な研究成果があがっており、また、膨大な言語事実が発掘されているにもかかわらず、それを英語教育に効果的に適用・使用する努力がなされたことはほとんどなかったのが現状である。このような状況を打破し、現在英語教育が抱えている諸問題の解決に役立つような応用的研究が急務である。本研究は、英語学研究、特に生成文法の研究成果を英文法教育に反映させることによって英語教育の改善に役立て、社会的貢献を果たすことを目的としている。 この目的を達成する一つの段階として、本年度にはワークショップ「英文法と学習文法のインターフェイス」を開催した。大学にかぎらず、専門学校、高等学校の教員が参加することにより、生成文法の成果を学校教育に還元する試みであり、多くの参加者がさまざまなトピックを巡って意見交換をした。その報告書を『英文法と学習文法のインターフェイス』(東北大学大学院文学研究科)として作成し、全国の主要大学に配布して、研究資料として役立てるように配慮した。大学教員間のワークショップはよく見られることであるが、大学、専門学校、高等学校の共同によるワークショップはこれまであまり例がなく、新しい形の社会貢献となっていると思う。 また、現在『生成文法に基づく英文法』(仮題の)の原稿を執筆中であり、文の種類、助動詞、動詞の型、形容詞の型、名詞の型、動名詞節、不定詞節、関係節、能動文と受動文、情報の流れ・右方移動・左方移動などの項目については原稿が完成している。
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