研究課題
基盤研究(C)
平成17年度においては、英語の文末付加要素の統語特性とその分析法に関わる実証的考察を行った。まず、先行研究の文献上の調査を丹念に進め、これらの要素の統語特性がこれまで提示された分析の中でどのように扱われてきたかを確認した。そして、その分析上の問題を明らかにし、個々の分析で明らかにされた知見を最近の枠組みの中で捉え直すことが可能であるかを検討した。結果として、位置・分布特性に関しては、Larsonらの枠組みの中で捉え直すことは極めて困難であるという結論に達した。同時並行的に、英語の文末付加要素の意味的特性に関する実証的研究を行った。文末付加要素は、文末位置を占めるために新情報を担い、新情報は、強勢を担うために有標であると見なされてきたが、これがLarsonらの仮説の予測と矛盾することを示し、文末付加要素を無標であると見なすことの可否を実証的立場から検討した。平成18年度(最終年度)においては、英語の文末付加要素の特性を精査し、文末付加要素を二種類に分類することの記述的妥当性と、この分類の理論的意味について考察を加えた。また、特定の文末付加要素を移動操作によって導く分析の記述的妥当性と理論的意味を明らかにする試みを行った。前者に関しては、場所を表す前置詞表現の一部や、状況副詞句、受動態・中間態構文に現れる副詞句の一部を、他の付加要素と区別すべきであることを明らかにした。後者に関しては、ある種の外置要素を移動により文末位置に導く分析を裏付ける作業を進め、Johnsonや中島らの研究を裏付ける実証的研究を行った。そして「右方移動が実際に存在し、この移動には駆動誘因が関与する」という仮説の検証を推し進め、この仮説を採用することによって、外置移動・主語への移動・WH移動等の相互関係に関する複雑な言語事実を原理的に説明できることを明らかにした。
すべて 2007
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新潟大学言語文化研究 第12号(印刷中)
欧米の言語・社会・文化 第13号(印刷中)
Niigata Studies in Foreign Languages and Cultures No.12(in press)
Studies of the European and American Languages, Societies, and Cultures No.13(in press)