研究概要 |
本研究の目的は、英語の変種のひとつであるイギリス英語の現在の姿を英語学・社会言語学あるいはコーパス言語学の視座から考察することにより、イギリス英語の現在の有り様の特徴を明らかにすることである。とくに英国のイングランド地方で最近、イギリス標準英語(Received Pronunciation)に取って代わるべく浸透してきた河口域英語(Estuary English、以下EEと略す)に焦点を当て、イギリス英語を明らかにする。つまり、現在の英国における英語のありのままの姿をその社会構造の変化との関係で明らかにする。今年度予定していた研究計画に従い、これをほぼ予定通り遂行し、以下のような実績を上げた。 1.EEの実態調査のため平成18年9月5日より9月20日まで英国へ出張。英国内で方言調査を実施。同時にLondon大学University College Londonにて、海外共同研究者のJenkins, Rosta, Gisborneの各氏と共同でworkshopを開催した。 2.研究成果の一部を、当初予定の口頭発表ではなく、研究代表者の共著書『新英語学概論』(平成19年1月刊行)の中の第1部2章4節および第2部4章で公表した。 3.研究の成果の一部、とくにEEの現在の姿についての論考を小西友七編『現代英語語法辞典』 (平成18年4月刊行)の中で発表した。 4.EEの拡散を説明しうる社会言語学理論、英語の変種、社会言語学についての公刊・未公刊の基本的文献を国内・英国で精力的に収集した。 5.改訂されたイギリス英語のCD-ROM版の電子コーパス(ICE-GB Release 2)を購入し、EEの語彙的・文法的特徴を分析した。 6.On-lineコーパス(BNC, Wordbanks)を使って、語彙、文法的観点からEEの分析を行なった。 7.研究成果報告書の草稿の執筆を開始した。
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