研究概要 |
論文として「英語のジョークと川柳の笑いについて:関連性理論による分析」(『言外と言内の交流分野:小泉保先生傘寿記念論文集』大学書林)(2006.507-523)と題して発表。英語のジョークの面白みの原則が、日本語の川柳の笑いとの共通点と差違を議論した。海外でProverb Variation and Jokes ; A Relevance The oretic Account(33^<rd> LACUS, University of Toronto,2006.7.31-8.4)と題して発表し、ことわざが変種としてジョークとして笑いを誘う原則を関連性理論で説明した。国内で「ジョークと類似性:関連性理論による分析」(2007.1.13,第20回表現学会近畿例会,同志社大学にて)と題して発表し、関連性理論による(解釈的)類似性という認知プロセスを用いて、ジョークの笑いを主に類似性に基づくジョークの表意決定を中心に考察した。音声的、統語的、意味的類似性データを検討した。通常のコミュニケーションよりもジョーク解釈では表意意味決定において、曖昧性を除去せずに2つの意味を並行処理している場合、現実世界とメタ言語世界のずれと解釈する場合、知識から情報を補って、表現と知識(定型表現、ことわざなどの意味的まとまりの知識も含む)とのずれにより笑っている場合など、笑いの説明には言語表現のみでなく、背後にある文化的、政治的、社会的知識などを聞き手が処理過程の中で用いることで、表現との何らかの誤差によるおもしろみが出てくることを述べた。知識や視覚情報など言語表現以外の情報も意味理解に取り組むことができる関連性理論の枠組みは新しい知のメカニズムの解明を可能にする有力な理論であり、ジョーク解釈において聞き手に処理労力を通常のコミュニケーションよりかけて、それによるコンテクスト効果が笑いとして生じると説明した。
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