本研究の目的は、日本語教育を主専攻とする学生の日本語教育実習を海外で行う上での海外の教育環境及び意識に対するパイロット調査し、同時に、実習を行う前段階と実施後の実習生の日本語教育実践に関する意識変容の状況がどんなものであるかを明らかにすることにある。また、海外の協定校と連携し、各国における日本語教育の位置づけや体制、教師の意識、教育環境、ネットワーク環境など、教育資源の現状を調査研究し、効果的な日本語教育実習の資料とするものである。 調査は、大きく、日本語教育実習生のビリーフの調査と教育能力の自己評価に関する調査、また、教育実習を行う上での環境調査に分けて実施した。ビリーフ調査は日本語を教える側の意識調査であり、教育能力調査は、1)自己意識、2)学習者に対して、3)教材について、4)教案作成について、5)指導技術について、6)授業評価・フィードバックについて、の6項目の調査である。調査にあたっては、被調査機関、被調査者のプライバシー保護、インフォームドコンセントなどを十分に配慮して行った。 調査の結果、日本語教育実習生の意識変容はあまり変化が見られなかった。その理由として、実習期間が短いこと、実習準備のための授業や教壇実習の担当コマ数が少ないこと、フィールド研究が足りないこと、メディア・リテラシーが十分でないことなどがあげられる。また、日本語教育が教育免許法上に位置づけられていないことも大きな要因であると考えられる。 調査の結果得られたデータを集計・分析し、日本語教育実践を行う上での気付き、また、実習生の意識変容データ、教育能力の評価データ等の分析結果を研究成果報告書としてまとめた。
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