今年度は、国内外で収集したデータを整理し、分析を行った。また国内データの分類・分析のほか、韓国、(釜山・ソウル・光州)、タイ(バンコク)、台湾(台北・台南)、中国(大連)の各国で収集したデータの電子化、翻訳作業、用語の分類作業、および分析を行った。 日本語では各場面によって、(1)「バカ、変態」など相手をさげすむ言葉、(2)「どこ見てるの、死にたいの」などの行動を非難する言葉、(3)「危ない、気をつけろ」など注意を促す言葉、(4)「キモい、ムカツク」など自分の不快感を表わす言葉、(5)「死ね、ぶっ殺す」など相手の存在を消す言葉などの特徴が見られた。韓国語、中国語、タイ語のデータは、日本語と比べて、異なる社会・文化的背景により、卑下する対象となる用語の異なりの分布や使用環境及び用語の豊富さなどが顕著であることなどが明らかとなった。今後、データのサンプル数を増やし、日本語と各国語をそれぞれ社会・文化的背景とのつながりを詳細に記述し、あぶない用語の社会言語学的かつ語用論的分析をさらに深化させることが必要である。
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