平成18年度は、前年に引き続き中国での調査と、資料の収集をおこなった。 中国での調査は、本田が8月に集中しておこない、黒龍江省、遼寧省、および淅江省にて、文化大革命のころから、文革が終了して外国語教育が、再開される時期、および現在にいたるまでの状況を、10名ほどの関係者からインタビューし、録音した。録音資料は、調査者自身の手により、文字化した。 一方、入手した資料のうち、朝鮮語のものは、信頼できる母語話者に依頼して、日本語への翻訳をおこなった。こちらも、内容を分析し、年代ごとの特徴を明らかにする予定であったが、当初の仮説どおりの結果があらわれなかったため、現在、他の分析手法が考えられないか検討している。 インタビューについては、ライフヒストリー・アプローチによる分析をおこない、1980年代から現在にいたる中国朝鮮族の日本語教育についてのコミュニティの意識を明らかにした論文をまとめて、現在、ある学会誌の査読をうけている。 また、従来の「日本語教育史」研究の立場では、1945年を境として、研究の視点がまったく偏移していたが、この従来の研究方法への疑義を論文としてまとめ、こちらも研究誌へ投稿、査読をまっている。 昨年度は、夏の調査の資料を文字化、また翻訳するのに時間をとられてしまったが、とりあえず研究をまとめるだけのデータが得られたので、平成19年度は、このデータをもとに、比較的大きな論文をまとめる予定である。
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