研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、専門日本語教育における論述文の効率的な指導のために、論述文のジャンルに特徴的な複合動詞の選定を行い、それらを指標として文章のジャンル判別が可能であることを実証的に明らかにすることである。さらにその成果を専門日本語教育における語彙教育の方法の改善につなげることを目標とする。本研究では対象とする文章資料として、論理が明示的だと考えられる論文に代表される論述文ジャンルとして工学論文、物理学論文、文学論文、経済学論文、経済学入門書を、それ以外のジャンルとして文学作品、新聞社説を選び、合計395編のコーパスを整備した。指標としては複合動詞の後項動詞から41項目を選び、各項目の各文章資料における使用回数を調査した。その調査結果を用いて各後項動詞の一文当たりの使用頻度を求め、ステップワイズ法による判別分析を行った結果、論理が明示的だと考えられる論述文ジャンルと、それ以外の文学作品ジャンル、新聞社説ジャンルが判別率67.1%で分離されることがわかった。また、判別に寄与する後項動詞は15項目(「だす」「こむ」「かける」「きる」「あがる」「まくる」「なおす」「いる」「たつ」「あげる」「いれる」「おわる」「つくす」「つづける」)であった。論述文ジャンルの中では文学論が特に複合動詞の使用が多くその種類も多様であった。限られた資料の範囲内ではあるが、複合動詞の後項動詞が文章のジャンル判別の指標として寄与する可能性が実証的に明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
日本語と日本語教育 36
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Nihongo to Nihongokyouiku (Japanese and Japanese Education) vol. 36
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Doctoral dissertation, Keio Universi