研究概要 |
近年,海外の日本語学習者数が増加し,それに伴い学習者の母国で日本語母語話者とコミュニケーションをする日本語接触場面が増えてきていると思われる。しかし,教材などは主に日本国内のインターアクションを題材としたものが多く,彼らが自国で実際に経験する接触場面を反映していない。そういった問題点,および今後の海外での日本語教材の基礎作りをするために,この研究では日本国内と学習者の母国での日本語接触場面の比較・分析を行っている。 二年目となる今年度は,日本語教育学会日本語教育研究集会(2006年7月7日北海道大学),第7回国際日本研究・日本語教育シンポジウム(2006年10月29,30日香港中文大学),モナシュ大学文学部セミナー(2006年11月1日モナシュ大学)において,前年度の研究結果である中国国内での日本語接触場面と日本国内の日本語接触場面の比較について発表を行った。 発表内容の何点かを下記する。 1.言語ホストか言語ゲストかに関係なく,ある種の話題は場所ホスト(日本国内では日本人,中国国内では中国人)か場所ゲストかによって決定される。例えば,場所ホストは連帯的距離を縮小するために,来日(来中)理由や留学理由,留学生活に関する。 2.場所ホストであると,プライベートな質問(連帯的距離の保持)や上下関係のわきまえ(地位的距離の保持)に関する規範は比較的強く維持される。 3.日本語母語話者は場所ゲストになると,コミュニケーションを管理しようとする規範に弱まりが見られる。また,日本国内にいるときよりも,相手・相手国に対する尊重規範が強まる。 また,今年度はオーストラリア国内におけるオーストラリア人日本語学習者と日本人留学生の日本語接触場面を,日本国内においては日本人大学生とオーストラリア人留学生の日本語接触場面のデータを収集した。これらのデータは現在分折中で,来年度中に発表を予定している。
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