研究概要 |
本研究は、日本人学生なら高校卒業までに学習する基本的な専門語を経済分野を専攻する外国人留学生が適切に使用できるようになることを最終目的とし、「物価が上がる」などの専門的な概念を表す「専門連語」のうち留学生の学習に有用な「物価が上がる/上昇する」など類義の専門連語につき専門語、連語、用例文から成る専門連語集を作成し、分析することを日的とする。最終年度の本年度は、次のことを行った。 (1)昨年度の口頭発表の論文小宮千鶴子(2007)「社会科学系留学生のための経済の専門語-中学・高校教科書の索引調査に基づく選定-」『早稲田大学日本語教育研究センター紀要』20,33-52昨年度の専門日本語教育学会における発表をもとに「社会科学系留学生のための経済の専門語」225語の選定について述べた。 (2)経済の専門連語候補の選定中学「公民」、高校「現代社会」、大学の経済概論の教科書本文から得た「社会科学系留学生のための専門語」225語を含む連語約15500(延べ)について係り受けなどの不適切な連語を修正・削除して、専門語の連語13439(延べ)を得た。その内訳は、中学2839、高校6377、大学4223であった。 (3)経済の専門連語の判定と判定者へのインタビュー類義の連語を含む、中学と高校の専門語の連語1393(異なり)について経済の専門家3名に専門連語の判定を依頼した。その結果、552(39.6%)の連語が3名の判定者によって一致して専門連語と判定されたため、それらを専門連語と判定した。判定者には、判定の後に判定に関するインタビューを行った。
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