研究課題
本研究は、外国語によるリスニングに影響を与える情意的変数として従来認められていた不安に代わる変数として、新たに、「リスニング・ストレス」という、これまでの不安も含めた、より包括的な構成概念を仮定し、その構成概念としての妥当性を検証し、その生起のメカニズムを解明しようとするものである。研究最終年度である平成18年度は、前年度における研究で明らかにされたリスニング・ストレスの構成要素とその構造を示した構成概念モデルに基づき、リスニング・ストレスの生起のメカニズムにおいて中核的な役割を果たすと考えられる認知的評価のプロセスについて、Lazarus and Folkman(1984)によるストレス理論を援用し、その理論構築を行った。さらに、英語圏(アメリカ)で実施された短期語学研修に参加した日本人大学生及び英語圏(アメリカ)の大学に在籍する日本人留学生を対象に英語によるリスニングの際に感じるストレスに関する面接調査及び質問紙調査を実施した。面接調査で得られた内省報告と質問紙調査の結果をそれぞれ質的に分析し、リスニング・ストレスの認知的評価に関わると考えられる要因を洗い出し、それらの相互関係を明らかにした。さらに、この分析結果を基に、リスニング・ストレスの認知的評価プロセスのモデルを構築した。認知的評価は心理的ストレスの生起を左右するものであり、本研究において概念構成を行い、その心理的実在性が認められたリスニング・ストレスにおいても同様に重要な役割を担うものと考えられる。このプロセスモデルの構築により、リスニング・ストレスの生起のメカニズムのさらなる精緻化と、その対処方略の開発の可能性がもたらされたと言える。
すべて 2007
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弘前大学教育学部紀要 Bulletin of the Faculty of Education, Hirosaki University 97
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東北英語教育学会研究紀要 27
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