昨年度に引き続き、英語教員に必要とされる英語能力のタイプを特定すべく、国内外の文献にあたり、中学校、高等学校の教員に聞き取り調査を行った。また中学校、高等学校の授業を観察・記録し教室内でどのような指導が望まれるのか、そして望ましい指導を行うにはどのような英語能力がどの程度必要とされるかを考察した。データは主に定性的データを収集し分析した。その結果に基づき、教員に必要とされる一般能力はおおよそ以下の5つのタイプに分けられるものとした。1)教科に関する知識(英語の言語構造・歴史に関する知識、英語圏の文化に関する知識など)、2)指導法に関する知識(指導案の作り方使い方に関する知識、文法訳読法、タスク・ベース法などさまざまな指導法に関する知識など)、3)指導上の技能(教科書を生徒のレベルに合わせて指導することができる、生徒の英語能力を適切に判断できるなど)、4)授業運営上の技能(グループワークなどの指示を迅速かつ効果的に行うことのできる技能、宿題の提示と効果的な返却の技能など)、5)人間性(学習者に対する労わり、他教員との協調など)。これらについて質問紙を作成し、英語教員に求められる英語力のレベルを、定性的、定量的に分析、検証する準備をしている。ただし、その際上にリストした能力のうちどれをどのレベルまで採用時に要求し、どの能力を採用後の実地、研修などに任せるべきかを明示しなければならず、これが最も解決困難な問題である。現在続けている包括的なリストを作り、それを基に現役の教員との面接調査、上行観察、その後のフォーカス・インタビューなどを行いながら調整を行う計画である。
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