昨年度までは教員として必要な資質、すなわちニーズを確認するためのデータの収集に終始した。その出典は授業観察、文献、先生方への聞き取りが主であった。本年度はこれらに加えて、教育実習を終えた学生、大学院で学ぶ現役の教員、新卒の学生を対象にして、英語教員に必要だと自らが実感している能力、素質、特質について聞き取りを行った。 昨年度までと大きく異なるのは、データを収集し分析を進めるだけではなく、それと並行しながら理論を構築していったことだ。主に参考にしたのは英語で書かれた教育一般に関する文献であったが、それらに加えてさらに英語教育、英語以外の外国語教育などに関する文献などにもあたった。その結果により以下の3点を基本方針として最終的にまとめることとした。1)聞き取りの際に挙げられた教員に必要な特質について基本的にはどれも採用すること。2)すべて列挙した項目は分類しいくつかの大きなカテゴリーにまとめること。3)それぞれについて使用言語、必要性の度合い、レベル、科目に関係なく必要とされるのか英語という特定の科目に必要とされるのかを表示する。こうすることにより診断評価の細目を作成することができる。 さらに教室で行われている指導の流れを記述し、指導には実際にどのような技能が必要なのかを探った。 また教員に必要とされる資質の記述と並行して、診断テストを目的とした評価方法のサンプルを開発した。評価法の開発にあたっては、現職の教員、英語教育専攻の大学院生(日本語母国語話者、英語母国語話者の両方を含む)の協力を得た。
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