研究課題
4年計画の3年次は2年次に実施した実証データを学術雑誌(ARELE・JLTA Journal)に投稿し採択されている(以下、論文1・論文2)。また、最終報告書に向けて以下の調査を実施した(以下、調査1)。論文1:テキスト理解の複数のレベルを反映するテスト項目を自由記述式と多肢選択式の2種類の形式で実施した。その結果、自由記述式では心的表象においてマクロ構造の構築に重要な理解レベルを要求するthematic questionsの難易度が最も高く、inference questionsが続き、テキストに明示されている情報の理解を必要とするparaphrase questionsが最も易しいことを示した。一方、多肢選択式においては理解レベルが難易度に反映されないことを示した。論文2:多肢選択式読解テストにおいてどのような錯乱肢が読み手の理解を妨げるかを検証し、テキスト中と選択肢中の語彙の重複が大きい場合には受験者がその錯乱肢を選択しやすくなることを示した。上記の結果と2年次の研究結果をまとめると、本研究の対象となる学習者はテキスト理解において心的表象を構築する際、(a)明示的な詳細情報の読み取り(つまりミクロ構造の構築)の困難は小さいが、(b)詳細情報を統合し、テキスト全体が何を伝えているのかを要約する(つまり、マクロ構造の構築)ことに困難を持つ可能性が示された。そこで、調査1において、明示された情報の理解を反映する和訳課題、詳細情報とともに構築された心的表象を反映するリコール課題、そしてマクロ構造を反映する要約課題を実施し、(1)読み手がどのレベルにおいて躓いているのか、(2)低次での躓きが高次の理解にどのような影響を及ぼしているのかを検証した。本調査の結果から英文訳読指導が心的表象の構築に及ぼす影響について考察する。
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ARELE(Annual Review of Annual Review of English Language Education in Japan) 19(印刷中)
JLTA(The Japan Language Testing Association)Journal 10
ページ: 56-67