研究課題
最終年度は次の観点から検証を行った。(RQ1)筆記再生で産出される情報は、英文和訳で産出される情報をどのように反映しているのだろうか。(RQ2)要約で産出される情報は、筆記再生で産出される情報をどのように反映しているのだろうか。65名の大学生をTOEFLのリーディングで3つの熟達度群に分け、より熟達度の差を明確にするため、上位群と下位群の分析を行った。参加者は、まず長いテキストを10分間で読み、その内容について12分間で筆記再生を行った。その1ヵ月後、同じテキストを読み250字以内の要約を10分間で書くよう指示された。さらに、英文和訳課題は宿題として出し、次回の授業に提出した。さらにその3ヶ月後に、短いテキストを5分間で読み、その内容について7分間で筆記再生を行った。その3週間後、同じテキストを読み150字以内の要約を7分間で書くよう指示された。英文和訳課題は長いテキストと同様に宿題とした。その結果、RQ1については、英文和訳課題での誤りが筆記再生課題に反映されており、特に短い文章においてこの傾向が顕著であった。英文和訳課題で表れていた下位レベルの誤りが、筆記再生課題にも影響を及ぼしていた。また、筆記再生課題のみで熟達度間の有意差が現れていた箇所もあったが、これは英文和訳課題で差が現れていた周囲にあるアイデア・ユニットであったため、命題間ネットワークが構築できなかったために一貫した心的表象が構築されなかったと考えられる。次に、RQ2に関しては、長い文章のみにおいて筆記再生課題と要約課題に共通点が見られた。両課題において熟達度間に有意差が見られたアイデア・ユニットは、英文和訳課題では有意差が見られなかったため、読み手は文字通りの理解はできていても高次レベルの処理が阻害されていたと考えられる。短い文章ではこのような傾向が早られなかった理由としては、長い文章では筆記再生課題で産出される情報が縮約されたためであろう。
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ARELE (Annual Review of English Language Education in Japan) 20
ページ: 11-20
JACET JOURNAL (The Japan Association of Col lege English Teachers) 47
ページ: 111-125
JLTA Journal (The Japan Language Testing As sociation) 11
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