研究概要 |
本年度の目的 (1)英語L2話者の冠詞使用データの収集 (2)英語L1話者による冠詞使用データの収集 (3)英語L2話者の冠詞修得困難に関わる要因の探索 (4)実験用プログラムの制作 本年度の研究経過 (1)ビデオクリップ"Pear Film"を用いて,英語L2話者(20名)にビデオの内容を英語で口述あるいは記述させた. (2)上記(1)と同様に,ビデオクリップ"Pear Film"を用いて,英語L1話者3名から口述と記述で,1名から記述のみのデータを得た.H18年度中にカナダの研究協力者と共同でL1英語話者からのデータを収集する予定であったが,これはH19年度に実施することとなった. (3)英語L1話者から得られた結果と英語L2話者から得られた結果を対照させ,両者間で差異があらわれたものを抽出し,修得困難になる要因の推定をおこなう計画であった.しかし,L1英語話者のデータ数が十分ではないため,対象分析のを来年度も継続して実施する. (ア)L2英語話者のデータの一部(7名)を以下の観点から量的に分析した. (1)T-unit数 (2)NPを抽出 (3)NPごとに環境を[±SP],[±HK]で識別し,4環境に分類した. (4)a, the, Φの出現数とその正誤 (5)情報構造:情報処理のしやすさ(あるいはしにくさ)に基づく有標性 (イ)学習者の英語能力をCommon European Frameworkに基づいて,学習者を2グループに分け,学習者の能力別に(1)-(5)については差異がないかけんとうした. タイプ1[-SR][+HK]では,能力別のグループ間で差異がなかった.しかし,タイプ2の[+SR][+HK]環境下と,タイプ3の[+SR][-HK]下で能力別グループ間の差異が見られた.タイプ4の[-SR][+HK]については,出現自体が皆無に近かった. (ウ)Pear Filmを使用した実験では物語タスクNarrative task)を使用したが,特定の冠詞が出現しにくいというおとがわかった.特にタイプ1,3,4の使用データをとるためには,物語タスク(narrative task)以外のタスクが必要であることが判明した. (4)実験プログラムの制作に向け、上記のような項目選択プロセスと平行して,制作に必要なソフトウェアの整備等を実施した.プログラム制作を来年度も引き続き行う.
|