研究第3年度においても資料収集に力を注ぎつつ、資料の消化に努め、考察を行ってきた。 研究の中間報告として、2007年9月に「西日本言語学会」において、「ウィットに見るドイツ・ランデスクンデー」と題する報告を行った。そして2つの論文を公刊した(以下の「11.研究発表」参照)。 本研究課題の目的は、言語文化教育素材としてのテクスト種ウィットが有する潜在的可能性を追求することにあるが、本年度においては、ランデスクンデに焦点を合わせて考察を展開した。文法、ランデスクンデ以外に、ウィットに見る地域性、ウィットに見る民族性(国民性)等、個別的にはさらに多くの課題設定が可能であるが、資料整理のためには、テクスト種ウィットの分類、特徴付けが前提となっている。そのための試みを行った。 公刊したもう一つの論文(「テクスト種ウィット分類の試み」)は、頁の制限上、十分な論述ができなかった。ウィットの分類のみならず、テクスト種ウィットの形式及び内容両面における言語的特徴等、先行研究を概括し、最終報告書に備えるのが、次年度における先ず最初の課題である。そしてまた、テクスト種ウィットに見られるステレオタイプについて、心理学的、認識的な観点から考察することも課題である。いわゆる「囁きのウィット」を典型例とする政治的ウィットを手がかりに、現実政治との関わりについて考察することも、もう一つの課題であることも確認した。以上が、本年度における研究実績である。
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