研究概要 |
本年度はオンライン型語用論能力診断テスト開発に至る初年度として,当初以下4つの研究目的に基づいて実施した。 1)語用論テスト方法に関する資料収集: 研究分野の進展について資料収集のため米国ウイスコンシン大学での学会出張(山下),米国インディアナ大学での発表(深澤),ハワイ大学で語用論テスト研究者との協力会議(深澤),さらに研究分担者の所属する全国語学教育学会での開催に合わせて研究のための打ち合わせ会議を持ち,研究情報を交換した。 2)語用論能力を診断するためのテスト項目の開発: 最も自然なデータを収集するため,研究協力者をイギリス・エジンバラに派遣し,日本人大学生14名がホームスティ場面で実際に遭遇した困難なコミュニケーション場面を面接法による聞き取り調査を実施し,それをもとに日本人学習者が困難を感じる語用論場面の特定を行った。 3)ウエブページで操作するオンライン・テストのプロトタイプ作成: 2)で実施した面接データをすべて書き取り,日本人英語学習者が学校・大学というアカデミックな場面で必要となる発話行為を中心とした人間関係場面を12例設定した。さらにホームスティ場面で予想外に余り困難を感じない「依頼」行為から,最も困難を感じる「不平を言う」までのシナリオをプロトタイプとして作成した。 4)小規模でのパイロットテスト実施: ハワイ大学で語用論テスト研究者との協力会議をもとに,具体的な場面を含んだオンライン・テストをウエブ上で作ることをねらったが,海外研究協力者の協力が得られなかったので今年度ではできなかった。来年度に,適当な協力者の支援を得ることにした。
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