3次元仮想空間チャットシステムを利用した、文字ベースのチャットによる英語対話演習授業を、平成17年度前期に2コマ(うち1コマは他大学とインターネットで結んだ共同授業)、同後期に1コマ実施した。授業で交わされた英語対話のログは保存され、受講者からその一部指定部分のプリントアウトに自己添削を施したものを回収し、分析の素材を得た。自己添削で修正された不具合と、自己添削の機会があっても修正されない不具合とがあり、考察の結果、自己添削して修正される種類の不具合については、即時的チャットではなくて時間をかけて書くことができる場合には防ぐことが出来るものであると考えられるという結論に至った。こうした不具合の種類があぶり出されれば、対話の即時性に起因する不具合の特徴が見えてくることになる。17年度の授業実践の中でたどりついた予測される不具合の種類としては、スペルミス、ピリオドやカンマや疑問符といった記号のミス、大文字小文字の区別の欠如といったケアレスミス、時制の不適切、数や一致のミス、関係詞の選択の誤りといった主に発話の即時性による文法ミス、日本語からの干渉が関係する文法ミス、場面にそぐわず丁寧さを欠くなどの英語表現の選択に関するミス、相手の発話内容を誤解したために話がかみあわなくなるミス等がある。実際にこれらの不具合が回収した素材に見られるのか、それとも予測とは違う特徴が見られるのか。本研究の核心であるこの部分は着手したばかりで、17年度の研究実績として挙げるだけの結果をまだ得ていない。平成18年度はそれに取り組む年度となる。
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