英語対話演習授業から収集した文字チャットのログを分析し、すべてに目を通して不適切と思われる箇所をピックアップして精査した結果、不適切な部分の類別として「文字入力特有のミス」「文法ミス」「語法ミス」「スペリングミス」」「英文のぎこちなさ」「日本語からの干渉」「誤解」「その他」に分類し、またそれぞれの類別について下位分類も適宜行った。それらの下位分類の中から、即時性のあるキーボード入力で行う対話演習の中だからこそ冒してしまいがちだと考えられるものを選り分けた。「文字入力特有のミス」に類別される不具合はすべてキーボード入力に起因するものであるが、その他の各類別の中にも、通常の推敲を伴った英作文等ではあまり頻繁に見ることがなく即時的文字チャットにこそ多く見られると思われるような不具合があるので、1項目ごとに各例を検討して判定した。また、それらが生起する原因の考察も行った。これらの不具合から、文字チャットを使用した英語対話演習で注意を喚起するための指導事項をあぶり出し、今後の文字チャットによる英語対話演習授業における指導方針の策定をはかることによって、研究の目的を達し、キーボード入力による対話演習授業を充実させるための長期的研究の中で、指導方針の充実という部分に進展を見ることができた。研究成果報告書には、観察されたすべての不具合の項目と大方の具体例(あまりに例が多い項目では代表的な例だけとしている)を掲載しており、文字チャットという特別な環境下における誤用集としても利用でき、多様な成果があった。
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