研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、静岡県立大学とオハイオ州立大学のコラボレーションに基づき企画した、ディスカッションとオーラルプレゼンテーションを中心とする"テーラーメイド"の海外短期英語研修プログラムがアカデミックコミュニケーション能力の向上に役立つかどうかを調査することであった。この"注文型短期英語留学"が英語力向上に与える影響を統計的に測定するために、3年の研究期間中、参加者35名は3週間の研修前後にInstitutional Michiganテスト(文法・語彙・リスニング・自由作文)を受け、また参加者自身の英語力評価を知るためにアンケート調査を実施した。調査の結果、実際の授業で教科書等を用いなかったため、文法や語彙の伸びは有意でなかった一方、ライティングでは研修前後の平均スコア(最高スコア6)が3.55から4.35に伸び、標準偏差値が1.02から0.71に小さくなっていた。これらの点から、ディスカッションとプレゼンテーションの学習が「考えを整理、論理的に書く能力の向上」に役立つことが分かった。また、参加者の自己評価では、ホームステイやカンバーセーションパートナーが「英語使用の自信に繋がった」という意見が多かった。これらの成果から、日本の大学英語教育の目標が「英語を使って学業や仕事が遂行できるようなアカデミック英語力の養成」にあると考えれば、これまでのように既製の海外英語研修プログラムを安易に利用するのでなく、参加者の英語習熟度やニーズを踏まえた注文型海外研修を展開して行くことが望ましいと言える。今後の課題として、このようなテーラーメイドの海外英語研修プログラムの有効性をさらに高めるためは、どのように工夫をしたらよいのかを研究する必要がある。研究恊力者-中山峰治(オハイオ州立大学東アジア言語立学部准教授)
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