本研究では、欧米等ではほぼ定着しているLSP(Languages for Specific Purposes)(明確あるいは特定目的のための言語)教育の理念と方法をわが国の外国語(主に英語)教員養成と研修に導入し、先進的なシステムを構築しようと意図するものである。また、日本の外国語教育の改善に向けた新たなる外国語教員養成と研修のシステムを研究し、その開発を図ることが本研究の目的である。その点を踏まえて、本年度は、その最終年度にあたり、2年の間に収集したデータを整理し、LSP教員養成・研修システム開発のための現状分析をフィールドワーク、アンケート調査などをもとに行い、今後の方向性を探った。その結果一つの指針を示すこととした。指針は、「LSP教員養成・研修システムのスタンダード」として成果報告書に下記のようにまとめた。 ●スタンダード1:外国語の知識と技能●スタンダード2:外国語授業運営の知識と技能●スタンダード3:学習者の外国語学習目標の明確化●スタンダード4:学習者の外国語学習ニーズに沿ったカリキュラム設計と評価●スタンダード5:学習者の学習履歴の把握と学習方法の支援●スタンダード6:学習段階、科目内容、分野、仕事などのディスコースコミュニティの理解●スタンダード7:教育目標、学校文化の理解と外国語教育の専門性●スタンダード8:外国語使用のジャンル(場面や社会文化など)に対する理解●スタンダード9:初等教育から高等教育まで系統的外国語教育理解●スタンダード10:評価測定方法に関する知識と技能 本研究が提案したLSP教員養成・研修のモデルは、現行の日本の中等教員養成と研修のシステムを基盤とする。ここで提案したシステムが機能するかどうかは今後の検証にかかっている。本研究の提案するモデルの推進に向けてさらに検証と改善を実施する予定である。
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