研究概要 |
平成17年度の研究は,主に英国の自己表現力育成教育に関する文献収集と平成18年度に予定している英国での本調査の準備に重点を置いた。研究目標とそれに対する実績は以下の通りである。 (1)本調査に資する文献研究に関しては,本,論文,インターネットなどを通して日本語と英語による文献を収集しファイルにまとめた。その結果,自己表現力の育成に力を入れる英国の具体的な教育事例が明らかになった。また英国におけるナショナルカリキュラムを検討し,各段階における日本の指導要領との比較を試みた。英国のカリキュラムが早い段階で論理的・効果的な発話のスキルを要求しているのに対し,日本の国語の学習指導要領の到達目標は極めて抽象的なレベルに留まっていることが分かった。その成果を2005年10月29日に日本言語文化学会第12回研究大会で発表した。 (2)本調査に向けてのインタビュー項目の準備と調査に関しては,定期的な打合せを通して,教師の自己表現力育成に対する意識を調査するインタビュー項目,児童・生徒の自己表現力を見るためのインタビュー項目を検討し,まとめた。さらに自己表現力育成を重視する授業での教師と児童・生徒のインタラクションを分析する方向で準備を進めることになった。 (3)2006年の3月11日〜20日に英国の学校訪問を行った。LondonのGoldsmiths CollegeとKings Collegeの教授にインタビューをし,学校訪問は,BirminghamのHolte Secondary School, Stratford upon AvonのCroft SchoolとStratford upon Avon Grammar School for Girlにて授業見学を行った。また8歳の児童に対するインタビューを試みた。平成18年度の本調査での授業録画や教師へのインタビューに向けての示唆を与えるものとなった。
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