本研究の目的は、台湾の国民小学・国民中学・高級中学で行われている英語教育内容(言語材料と言語活動)を、検定教科書から量的および質的データを用いて明らかにすることと、教育部(文部科学省に相当)により一貫性を目指して設定された各学校種別ごとの評価基準(『課程綱要(学習指導要領に相当)』で明記)が、どの程度現実的であり、この新しい評価基準がどのように活用され機能しているのか、現地教員へのアンケートやインタビューを通して現状と課題点を整理し、台湾の3つの学校種における英語教育の到達目標の連続性の実態を明らかにしようとすることにある。 平成18年度は、とくに以下の2点について調査を行った。 1.台湾の検定教科書のデータ分析 台湾の国民中学・高級中学で使用されている英語の検定教科書を質的に分析した(平成17年度からの継続調査)。各章の内容、言語機能、言語材料、言語活動、進度などを分析し、各教科書の特徴を掌握した。また、国民中学の教科書をテキスト化し、量的分析を行い、言語材料(語彙、文法など)の特徴を調査研究した。 2.国民小学・国民中学・高級中学の英語教員への聴き取り調査 それぞれの学校種別ごとに設定された到達目標基準について、現地の教師にインタビューすることで、活用方法の現状と課題点、学校種間で基準を用いた連携方法、生徒の到達の確認方法などを聴き取り調査した。これは平成17年度より行っている調査の補充調査である。平成18年度はとくに、新しく施行された高級中学の課程綱要に伴う現場の変化や教科書の選択について聴き取り調査を行った。また、小学校から英語を学校教育で始めた生徒に関する教師の主観的な印象評価を聞き取り調査した。
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