研究概要 |
本研究の目的は,「メタファー(隠喩)理解・産出に深く関与するアナロジカルリーズニング(類推)と身体経験によって蓄積された英語慣用メタファーのイメージ・スキーマに着目し,更に学習者の認知スタイルを観察することで,授業効果を高める方法を考察した上で,メタファーを用いた言語材料を利用しての英語言語運用能力育成の具体的授業方法を考案する」ことにある。そして本研究に期待される意義は,「メタファーを利用した英語学習が,学習者の類推力,言語的創造性,言語的思考力にどのような影響をもたらし,英語運用能力,英語コミュニケーション・ストラテジーの育成にどのような効果をもたらすことができるかを明らかにする」ことである。 平成18年度には,メタファー教材利用後「メタファー教材の効果」を検証することを目的としたコミュニケーション能力テストを実施し,同じ被験者を対象として平成17年度実施した結果と比較考察した.(なお全被験者から本研究への協力についての同意は得ている。)同時に教材内容を検討,改善し,被験者の認知嗜好を考慮した教材の効果的提示方法の検討行った。これまでの研究より,外国語学習においてメタファーを利用した指導及び学習には,可能性・有効性があり,認知スタイルの違いに起因すると考えられる効果の違いはあるものの,メタファー能力養成が外国語運用能力育成,特にインタラクションを伴うコミュニケーション能力養成に貢献できる可能性があると結論づけられた。教材提示法に関しては,学習者の好む認知スタイルが大きく影響を及ぼすこともわかり,マルチメディアを利用しての提示方法が効果的である、という考察結果を得た。この観点から,教材についてはマルチメディアを取り入れた形式のものを考案し,特に最近熱心に取り組まれつつある初等教育に適した英語教材作を試作した。 今後更に考察を加えて、改良し、実用へとつなげたい。
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