本研究の目的は、津田応助(愛知)ら東海地域の著名な、精力的な活動をおこなった郷土史家を研究対象とし、彼らの経歴・資料収集の手法・著作の内容分析を行い、その歴史学的方法と地域史学構築へ向けた実践活動を明らかにすることにある。 今年度も昨年度に引き続き『林金兵衛家文書』の整理を実施し、8割程度の整理作業終えて、仮目録を作成した。林金兵衛は幕末から明治前期の地域名望家であるが、20世紀前期の愛知県を代表する郷土史家・津田応助による伝記研究や郷土史で注目された。津田の郷土史研究の成果である『贈従五位林金兵衛伝』や『東春日井郡誌』、『小牧町史』などの編纂内容などを再検討する格好の史料群であることが確認できた。また、豊田市史の編纂事業のなかで、明治前期に長く西加茂郡長を務めた田中正幅の郷土史研究・著作に注目して、『挙母藩史』、『西加茂郡地理小誌』、『西加茂郡誌』の編纂と内容について検討した。また旧藤岡町誌の編纂の中でも、20世紀前期における郷土誌を収集し、『藤岡町誌』においてその特徴について記述した。
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