研究課題
基盤研究(C)
近代日本・朝鮮の文化遺産保護史の研究に関わって、『近代天皇制と古都』(岩波書店、近刊)の研究をまとめ、古都京都・奈良が、近現代史をを通じて、「万世一系」を有する国体を体現する政治文化として、創出される過程に取り組んだ。そこでは、廃仏毀釈後の壬申の宝物調査を端緒として、1890年代に帝室博物館や、臨時全国宝物調査取調、20世紀の史蹟名勝などの文化遺産保護制度の整備が、古都の成立に重要となる。また、「近代京都と国風文化・安土桃山文化」というテーマで、京都大学人文科学研究所夏期講座(2005年7月9日)で講演したが、1895年の平安遷都千百年紀念祭では、京都に国風文化という中国と切れたイメージを創り出し、日韓併合後の「帝国」の時代には、「海外雄飛」した安土桃山時代の顕彰がおこなわれるという枠組みを提示した。この研究は、先の著作にまとめた。また安土桃山時代の学問史にかかわって、1920年に大阪府茨木の山間部で発見されるキリシタン遺物(ザビエル画像など)の発見に関わって、浜田耕作、新村出など草創期の京都帝国大学の学者と地元の郷土史家・藤波大超とのやりとりを書簡で復元し、大正期の文化遺産保護をめぐって、京大が「現地保存主義」(黒板勝美・天坊幸彦ら)と対立したことを明らかにした(「茨木キリシタン遺物の発見」)。また近世から近代への名所観の変遷にも取り組んだ。調査は、宮内庁書陵部や東京国立博物館、上賀茂神社をはじめとする社寺資料や京都府立総合資料館、宇治市歴史資料館などでおこなった。また韓国の政府記録所や延世大学、中央博物館でも調査をおこなった。関野貞をはじめとする植民地の文化財保護史や豊臣秀吉の顕彰についても、文献を集めた。
すべて 2006 2005
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身体論のすすめ(菊地暁編)(丸善)
ページ: 91-107
明治維新期の政治文化(佐々木克編)(思文閣出版)
ページ: 303-344
Perspectives on Social Memory in Japan, Global Oriental, UK
ページ: 134-147