昨年度に当補助金によってワシントンの国立公文書館と防衛省防衛研究所図書館から入手した資料を使い2編の研究論文を公表した。 「丸亀俘虜収容所のランツェレ大尉事件と第2ハーグ条約(その2)」では多くの収容所長が国際法に従ってドイツ兵俘虜を人道的に取り扱っていたが、一部の収容所長には国際法を軽視する傾向が既に見られることを指摘した。 「ヨーハン・クロイツァー「日本における私の俘虜生活」」では丸亀・板東収容所にいたドイツ兵俘虜自身の手記から具体的な俘虜生活の様子を明らかにした。 2006年8月26日に徳島市立徳島城博物館で開催されたフォーラム「ドイツ兵俘虜収容所長、松江豊寿の実相を求めて」にパネリストとして参加し、ドイツ側の資料に基づいて松江所長の人柄と俘による評価を発表した。 今年度は新しくベルリーンとコーブレンツのドイツ連邦公文書館から在日ドイツ兵俘虜に関する資料のマイクロフィルムを取り寄せて、現在その分析を行なっている最中である。これによる研究成果は来年度公表する。 また香川県歴史博物館と香川県立図書館から取り寄せた「香川新報」(1914年7月一1917年6月)のマイクロフィルムにより丸亀俘虜収容所に関する記事・報告を分析中である。
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