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2008 年度 実績報告書

幕末期諸藩軍制改革の比較史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520433
研究機関広島大学

研究代表者

三宅 紹宣  広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10124091)

キーワード軍制改革 / 幕末期 / 長州藩 / 薩摩藩 / 佐賀藩 / 会津藩 / 幕長戦争
研究概要

本年度は,最終年度として,史料収集の補充と分析の深化目指した。史料収集は,山口県文書館所蔵の毛利家文庫ほか長州藩関係史料の調査・収集を実施し,史料を入力した。分析では,軍制改革の性格が実際に発現する場である幕長戦争を集中的に分析した。その結果,次のような結論を得た。
(1)長州軍は,藩庁政事堂の統一的指揮のもと部隊の配備を行い,四境方面軍本陣は,各部隊を統括し,密接に連携を保ちつつ作戦を展開した。(2)長州軍は,諸隊はもとより,家臣団隊も基本単位は小隊組織に編制し,西洋式軍隊に改革されていた。諸隊および家臣団隊は,各作戦において混成して戦闘を遂行した。(3)長州軍は,散兵戦術を駆使し,山岳地形を巧みに利用して,制高を重視する作戦を展開した。また,ミニエー銃を標準装備し,征長軍の諸藩軍のゲベール銃を圧倒した。(4)長州軍は軍夫の動員体制を確立し,かつ,民衆の協力もあって,兵站を確保した。(5)征長軍は,旧式の諸藩軍もいたが,幕府歩兵組や和歌山藩軍は西洋式軍隊であり,また,軍艦は,当時最新最強の軍艦をそろえており,その艦砲射撃は,芸州口に軍艦が配備されていない長州軍を悩ませた。総合的にみれば西洋式装備では,質量ともに征長軍のほうが長州軍を上回っていた。長州軍は,優れた西洋式兵器によって勝利したとする通説は正確ではなく,むしろ散兵戦術など西洋式戦法に習熟し,それを充分に使いこなした点に勝因があったといえる。西洋式軍隊は,兵士に銃を持たせれば済むという単純なものではなく,組織や兵士の改革が達成されて初めて有効なものになる。そのことが達成出来ていたことが,長州藩軍制改革の最大の特質であったのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 幕長戦争芸州口戦争の展開過程2009

    • 著者名/発表者名
      三宅紹宣
    • 雑誌名

      史学研究 263

      ページ: 1-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幕長戦争石州口戦争の展開過程2009

    • 著者名/発表者名
      三宅紹宣
    • 雑誌名

      山口県史研究 17

      ページ: 1-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幕長戦争小倉口戦争の展開過程2008

    • 著者名/発表者名
      三宅紹宣
    • 雑誌名

      山口県地方史研究 100

      ページ: 3-19

    • 査読あり
  • [学会発表] 幕長戦争小倉口戦争の展開過程2008

    • 著者名/発表者名
      三宅紹宣
    • 学会等名
      広島史学研究会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2008-10-26

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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