本年度は、昨年度既にデジタル化した峠三吉の自筆草稿の画像のうち、公表可能な作品草稿を対象に、画像つき自筆草稿目録の作成を行った。峠三吉自筆の作品草稿のうち、現在確認されている詩、短歌、俳句、散文作品(小説、童話)、評論、檄文の自筆草稿のほか、自筆メモの類のすべて、約1150件(画像にして約5000画像)を対象に、ジャンルごと年代順に配列された資料目録からハイパーリンクによって草稿の画像を直ちに呼び出せる形の目録(画像つき目録)を完成した。具体的には、利用者の便を考慮して、資料目録をマイクロソフトWORDで提供し、草稿資料の資料番号に画像へのリンクを張るという形をとった。また画像は利用ソフトの汎用性を考え、すべてAcrobat Readerで表示可能なPDF画像とした。この目録には、作品などの表題からも草稿の画像を検索できるように同様の形式の表題索引も付加した。表題索引による検索も、同様の理由から同じソフトウェアの同じ形式を利用した。完成したこの画像目録はすべてCDに焼付け、来年度公刊予定の冊子体の草稿目録に添付の予定である。この過程で従来の目録に存在した誤り、誤植等を相当に修正し、峠作品の自筆草稿目録として完成度の高いものが実現できた。 この作業と並行して、自筆草稿のうち個人情報などの制約のため、現在公表できない日記、書簡の類も将来の資料として活用するため同様の作業を開始した。また、峠三吉の活動と時代背景との関わりを明らかにするため、広島の戦後復興にかかる年表など基礎資料の整理も行った。 原民喜資料についても広島市立中央図書館作成の目録を改定し、それをもとに画像と目録を対応させる同様の処理に着手した。
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