1.萩城下町の社会構造分析 領国経済の核となる城下町の分析を進めている。本年度は山口県文書館を中心に、基礎的な史料および絵図史料の収集を行った。また都市社会分析の方法を学ぶため、東京や大阪などで研究交流も行った。 2.越荷方の分析 近世後期から幕末維新期にかけての萩藩において著名な越荷方に関する研究に取り組んだ。特に天保の改革でクローズアップされた下関の越荷方を中心に分析を行い、その性格を解明した。これを通じて、越荷方が萩藩の倒幕資金の源泉となったという通説には問題の多いこと、必ずしも越荷方が成功していた訳ではないことが明らかになった。現在、「下関越荷方再考」という中間報告を準備中である。 3.長府藩の在地支配構造の分析 支藩長府藩の在地支配構造について分析をし、本藩の財政基盤との比較を試みた。その成果は山口市で開かれた研究会で報告した。 4.「御書付控」頭書の翻刻 藩政の動向を概観するうえでの基礎史料である「御書付控」頭書の翻刻作業を進めている。将来は文書館などでの公開をめざしている。
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