• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17520439
研究機関九州大学

研究代表者

有馬 学  九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 教授 (80108612)

研究分担者 季武 嘉也  創価大学, 文学部, 教授 (40179099)
中村 尚史  東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (60262086)
日比野 利信  北九州市立自然史, 歴史博物館・歴史科, 学芸員 (90372234)
永島 広紀  佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (50315181)
一ノ瀬 俊也  国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (80311132)
キーワード安川敬一郎 / 松本健次郎 / 中野正剛 / 地方財閥 / 石炭産業 / 北九州 / 地方都市 / 衆議院選挙
研究概要

本研究は北九州地域の都市を主たる対象に、近代日本の都市化・工業化における地方都市の位置と機能を明らかにすることを目的とする。本研究の鍵となる史料は、今回初めて利用可能になった安川敬一郎の日記をはじめとする関係史料(北九州自然史歴史博物館蔵、以下「安川文書」と略)である。本研究では第一に、「安川文書」の整理を同博物館と協力して行い、その史料情報をデータベース化して活用できるようにした。「安川文書」の活用は、地方財閥の代表的な存在であった安川財閥の企業活動を詳細に明らかにするのみならず、企業、政党、行政、社会運動等の都市主体の動向と相互関係(対抗・競合・協調)を検証し、それによって近代日本の地方都市史研究に新たな地平を開くことを可能にすると思われる。
「安川文書」の主要な内容は、(1)安川敬一郎日記、(2)安川家の経営実態を示す帳簿類をはじめとする経営史料、(3)安川宛の書簡および安川の書簡草稿、(4)安川の膨大な意見書類である。本研究ではこれらの分析によって、安川の経済活動のみならず、それと結びついた政治活動、および政治・経済活動を結び付ける独特の国家観、国際情勢認識を明らかにすることができた。帳簿類の検討からは、安川家と松本家の事業上の関係(組織構造)や安川家の投資行動(資産運用のあり方)の実態が解明された。それによれば、安川家は日清戦争時の石炭ブームで得た利益を、鉱区の拡大と鉄道投資に投下し、事業多角化を実現した。また、安川敬一郎日記、書簡、意見書等を、的野半助関係文書、永江純一関係文書、新聞史料などと付き合わせることによって、これまでほとんど言及されなかった安川の政治活動の詳細が初めて明らかになった。衆議院選挙における安川の活動の舞台は北九州ではなく福岡市であり、そこでは安川は政友会系と玄洋社系双方の支持を調達できる立場にあった。安川は中央政界にも人脈をもち、第二次大隈内閣期に立憲同志会と政友会を牽制する第三勢力の形勢をはかったが、その意図は挙国一致による日中関係の安定化と、そのもとでの中国への資本進出にあった。

研究成果

(7件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 図書

  • [雑誌論文] 日清・日露戦間期の安川敬一郎2007

    • 著者名/発表者名
      日比野 利信
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 17-32

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 「興亜」の実践拠点としての北部九州・関門と釜山2007

    • 著者名/発表者名
      永島 広紀
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 95-103

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 企業家と地方政治--安川 敬一郎の場合--2007

    • 著者名/発表者名
      有馬 学
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 14-21

  • [雑誌論文] 安川敬一郎と三党鼎立論2007

    • 著者名/発表者名
      李武 嘉也
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 15-24

  • [雑誌論文] 安川敬一郎の企業活動2007

    • 著者名/発表者名
      中村 尚史
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 25-34

  • [雑誌論文] 都市基盤の整備と中央-地方関係--安川敬一郎と若松町を中心に--2007

    • 著者名/発表者名
      松本洋幸
    • 雑誌名

      科学研究費研究成果報告書・地方都市の都市化と工業化に関する政治史的・行財政史的研究

      ページ: 39-41

  • [図書] 安川敬一郎日記 第一巻2007

    • 著者名/発表者名
      日比野利信
    • 総ページ数
      470
    • 出版者
      北九州市立自然史・歴史博物館

URL: 

公開日: 2008-05-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi