1.史料調査本年度の当初予定では、大倉集古館及び東京大学史料編纂所での奴碑文書の調査を予定したが、史料編纂所が耐震工事中のため、調査を実施できなかった。唐代法制史料の調査については、昨年度に引き続き、京都大学人文科学研究所と国会図書館において行うことができた。人文研において、唐代史料集成のために利用されていた『唐会要』の版本を確認できたことは有益であった。また、人文研と国会図書館の『唐会要』(米国図書館蔵)の写真版が同一のものであることが判明した。 2.論文執筆推古朝の社会を記す『隋書』倭国伝について、史料的な検討を行い、論文にまとめた。「『隋書』倭国伝の史料的性格について」という題名で、年度末に公刊できた。昨年度から検討を行っている奴婢売買について、学会発表のできるところまで研究を進めることができた(平成20年度の国際学会で発表することになっている)。唐代の奴婢が礼的秩序外に設定された理由を解明できたと考えている。上記の他、書評1本、解題1本、外交関係の論文を3本執筆した。外交関係の論文は、2008年6月に単著に含められ、公刊される予定である。 3.研究成果の発表2で述べた『隋書』についての研究公刊の他、先に上海の学会で発表した唐代官賎民に関する研究が論文となり、『唐宋法律史論集』(戴建国主編、上海辞書出版社、2007年12月)に掲載された。
|