京都市中京区の空也堂極楽院において、所有史料を編年別に整理し、袋詰め・目録化する作業を継続して行った。大きな容量のハードディスクを備えたホストコンピューターにより、料番号・発行年代・西暦・形態・表題・内容・作成者・発給者・発給者肩書・受取人・宛人・宛人肩書・項目を設置し、個々の史料の情報を入れ、データベースを作成する作業を行った。また、主要な史料を分析するため、写真撮影をデジタルカメラにより行った。11月13日の空也遠忌では、三昧聖の伝統行事である空也勤行(踊念仏)についての撮影・取材を行った。 同様の作業を、名古屋市の空也堂別院仲田大真会で行った。また、秘事法門としての空也忌・涅槃会・彼岸会・降誕会・盆供養・報恩講などの取材を行った。 本年度は、最終年度であるため、京都空也堂極楽院の史料について、手書き目録作りとデータ・ベース作成が主となった。このデータは成果報告書として刊行する。ただし、最終年度になって空也堂からは新出史料が大量に発見された。これらは、近代降空也堂の門下となった、いわゆる浄土真宗の中の禁教であった秘事法門の一派に関する史料である。この秘事法門等の秘密結社的な地下信仰については、史料を残さないのが特徴で、全ての行事の作法や教典が口伝であるとされてきた。しかしながら、実際には聞いた法話を記憶しながら書きとどめた「覚」や、入門時の添付書類などが多く見つかり、これらはデジタルカメラで撮影・目録化した。しかし、これらを完全にデータ化するに間に合わず、よってこれらの目録化が未完成のまま終了したことが反省点である。
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