イスタンブルのアヤソフィア・ワクフの事例をもとにイスラム宗教寄進制度(=ワクフ制度)の歴史的展開を追う本研究の2年度にあたる平成18年度には、次の研究を行った。 1.史料調査-ドイツ・ベルリン国立図書館、および、ソフィア国立キリル・メトディウス国立図書館における史料調査を、2006年12月〜20071月に実施した。ベルリンにおいては、ワクフに関する19世紀の研究図書の調査をおこない成果をえた。ソフィア国立キリル・メトディクス国立図書館では、同図書館オスマン史料部門に収められているオスマン語台帳のカタログ調査を行い、本研究のテーマに関連する7冊の台帳を確認した。同図書館オスマン史料部門に所蔵された古文書史料は、イスタンブルの総理府オスマン文書館より1930年代に移されたものであるが、本調査の結果、一群のアヤソフィア・ワクフ収支簿台帳に関し現存するものの確認はほぼ終えた。 2.ワクフ財源賃貸店舗情報のデータベース化-上記、史料調査等によって入手したデータの解析し継続し、イスタンブルのグランドバザールを中心とした商業地区に関わる固有名詞のデータベース化作業を継続した。 3.1496年付けアヤソフィア・ワクフ調査台帳の校訂作業-本研究で利用する資料のうち、もっとも重要なものは総理府オスマン文書館MaliyedenMudevver No.19に整理された「1496年付けアヤソフィア・ワクフ調査台帳」の校訂作業を継続した。
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