最終年度の2007年度は、本研究において最も困難な、律文の復元と「雲夢禁苑」復元図の作成段階に入った。また3年間の研究の総括を行った。 (1)前年度に作成した訳文に従って、全約300簡の禁苑をめぐる律文について、律名を復元した。尚かつそれらを、「盗律」「賊律」「猟律」「田律」「廏苑律」「金布律」「工律」「徭律」「司空」「置吏律」「捕律」「亡律」「傳令」「関令」などのように分類する事に成功した。その分類に従い、より合理性がある新配列案が完成した。 (2)発掘現場の考古学者からの協力をえて、雲夢楚王城遺跡の調査図を入手した。 その図に基づいて雲夢禁苑の空間構造の復元図(案)が完成した。復元図には整理した龍崗秦簡の簡文を参考に、雲夢禁苑に関する律令の中に現れる門・壁・道路・土地・池・園・橋・宮殿・林・植物園・動物園などを中心として、秦漢時代までの文献資料と対照しながら、当時の禁苑の構造図を復元した。 (3)3年間の研究をまとめるために、日・中・欧米各国の簡牘学・文字学・考古学・都城史・自然科学史などの専門家と交流し、貴重な意見を積極的に取り入れて研究報告書を作った。
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