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2005 年度 実績報告書

中国中世における諸民族の「中国化」と漢民族の形成

研究課題

研究課題/領域番号 17520477
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

川本 芳昭  九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (20136401)

キーワード倭国 / 天下 / 中華 / 大宰府 / 外交 / 沖ノ島 / 倭の五王 / 倭王武
研究概要

本年度明らかにした事柄は、以下の諸点である。
(1)中国古代の「天下」という概念が拡大して、中国の領域を越えるものとなったこと。
(2)古代日本や朝鮮に生じた「天下」認識は中国のそれの影響を受けながらも、理念的な面ではそれぞれを中心とする「天下」認識であるという点で資質な展開を示したということ。
(3)(2)の「天下」認識は現実の場面では、古代日本や朝鮮の勢力が現実に支配している領域、あるいはその支配が及ぶと主張する領域を示すものであったということ。
(4)倭王武の時代における倭国にとっての「天下」とは、現実の場面では宋書倭国伝に見える彼の上表文にみえる倭国本体と百済、新羅、任那、加羅、秦韓、慕韓の七国に及ぶと主張するものであったということ。
(5)所謂邪馬台国時代における一大率は伊都国を中心とする旧倭国勢力を牽制するために置かれた官であり、その意味で一大卒にのちの大宰府の淵源を見ることはできないということ。
(6)宋書倭国伝の倭王武の上表文にみえる海北の諸国とは朝鮮半島南部の諸国を指すこと。沖ノ島の祭祀遺物の存在はその勢力が北部九州の一地方勢力ではないことを端的に示していること。
(7)那津官家は軍事的要請に基づいて設置されたものであり、その前後の歴史展開を見るとき、のちの大宰府の淵源ということができるということ。
(8)従来遣隋使段階においては北部九州の地には後の鴻臚館につながるような施設は全くなかったとされるが、なんらかの原初的施設の存在がすでにあったと考えられること。
(9)軍政機関としての原大宰府は、白村江の惨敗、唐の半島から撤退、倭国における律令制の完成などにともなう国際環境の安定化をへて、外交的権能を合わせ持つ官衙として完成するということ。
(10)その政治体制の完成は、古代日本が中国における中華意識、天下意識を受容し、日本型の華夷秩序を完成した事柄と連動しているということ。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 宋書倭国伝にみえる倭王武の上表文と高句麗-古代東アジアにおける歴史展開から見た-2006

    • 著者名/発表者名
      川本芳昭
    • 雑誌名

      2005年度韓日関係史学会報告書(ソウル) 2005年版

      ページ: 45-87

  • [雑誌論文] 倭国における対外交渉の変遷について-中華意識の形成と大宰府の成立との関係から見た-2006

    • 著者名/発表者名
      川本芳昭
    • 雑誌名

      史淵 第143輯

      ページ: 27-64

  • [雑誌論文] 以中国中心看漢唐期的"交流与変遷"2005

    • 著者名/発表者名
      川本芳昭
    • 雑誌名

      復旦史学集刊(中華人民共和国、上海) 第1輯

      ページ: 30-46

  • [図書] 『古代国家とアイデンティティ』うち本人執筆分「4-5世紀東アジアにおける天下意識-中国政治思想の伝播との関連から見た-」2006

    • 著者名/発表者名
      川本芳昭(編著)
    • 総ページ数
      400(21)
    • 出版者
      すいれん社

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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